保険代理店から見た日本における交通事故の実態と責任と対策
<交通事故の実態>
 昭和40年代以降、生活水準の上昇に伴い自動車も飛躍的に増え、それに比例して交通事故も増加の一途をたどっております。
事故を起こしてしまった場合、加害者も被害者も大変悲惨な思いをします。単純な車両事故や対物事故も”死”に至る大事故も同じひとつの事故なのです。
例えばバックした際、電柱や塀に衝突した場合はバンパーを取り替えれば済むかも知れませんが、そこに子供がいれば「
死亡」又は「重症」事故になってしまいます。特に子供との事故は円満な解決は望めません。大事故になるか小さな事故で済むかは紙一重なのです。
<交通事故を起こしてしまった場合にかかる責任>
 刑事責任 / 民事責任 / 行政責任 / 道義的責任
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刑事責任
*事故を起こし起訴された場合・・・@実刑 A執行猶予 B罰金刑
 死亡事故を起こした場合、上記の様な刑が言い渡されます。一般的に皆さんは交通事故の場合は交通刑務所に収監されるとお思いですが、実態は30%前後で残りの方は一般刑務所に収監されています。一般刑務所は他の犯罪(傷害・恐喝・詐欺・窃盗・暴行等)を犯した人達と一緒に収監される訳で、名前は剥奪され番号で呼ばれるようになります。例えば懲役1年の実刑判決が下ってしまったと仮定すると、1年間もの長い間生活を共にする訳ですから、どうしても上下関係が生まれます。交通事故の収監者は一番弱者であり、「お客様」と呼ばれているのが現実です。更に問題なのは収監中に人間関係が出来、出所してから、たかり・恐喝等、又は他の犯罪に巻き込まれ築いてきた財産を失う事も稀ではありません。家庭は崩壊し、たとえ業務上の事故であっても会社は貴方が帰ってくる迄、席を空けて待っていてくれないでしょう。
民事責任
*交通事故を起こし損害賠償請求された場合
<示談>
保険会社が貴方に変わって示談交渉・示談の締結・金銭の支払いの全てを行います。
その際保険会社は一般的に判例タイムズ社の「
民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という判例集を元に進めております。 交通事故に限り、刑事と民事が連動します。特に死亡事故(業務上過失致死罪)の場合、日本の習慣から49日法要が終わるまでは被害者からの請求が無い限り示談交渉を行うことは出来ません。通常刑事裁判は事故発生より180日前後より始まります。したがってその間の131日間が勝負であり、示談交渉・締結・支払いの全てを行わなければなりません。
 示談書(場合によっては被害者からの嘆願書も)が提出できると言うことは、加害者がいかに反省し誠意を示したかを見て、身柄を拘束し収監する必要の有無を判断します。そのために1日も早く示談書を提出し、裁判所での”情状酌量”を勝ち取らなければならないのです。それにより実刑が執行猶予に、執行猶予が罰金刑に軽減されます。例えば禁固1年、執行猶予3年の判決が下された場合、3年間刑事事件を起こさない限り身柄を拘束されること無く通常の生活が送れるのです。
*注意*  飲酒運転・薬物・ひき逃げ・暴走行為に情状酌量はありません

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