PRESIDENT理事長紹介

理事長 原川 哲

縁JOY浜松 〜未来へ繋ぐ成長と笑顔の輪〜

理事長
原川 哲

はじめに

私たちは先人たちが描いた未来を歩いている
人は、なにかを託して、あるいは遺して、未来へ繋いでいく
今、私たちが未来を描き行動することが、まだ見ぬ誰かの礎となり
未来へ繋がれていく

一般社団法人浜松青年会議所は、1951年に日本で10番目の青年会議所(以下JC)として設立されました。設立趣意書には「吾等は全世界の青年と提携し経済、社会を通じて常に、人類の福祉を計り、あわせて経済界の強力な推進力とならねばならない」と記され、奉仕・修練・友情の三信条のもと、明るい豊かな社会の構築を目指し運動を続けて参りました。各年度の時代背景は違っても「自分たちの手で自分たちのまちをつくる」というJCの根幹となる創始の精神はいつの時代も変わりません。74年間の活動の中で多くの出会いや経験、知識を蓄え、社会からの信用や協力者を獲得し、本年まで繋がれてきました。その様々な繋がり、「縁」を大事にしながら、新たな「縁」をつくり、未来へ繋いでいくことが重要です。
しかし、どんなに高い志や素晴らしい目的があったとしても、人はどこかに楽しさがなければ、おのずとそこの集まる人は減り、輝きも失われていくものです。楽しさとは、喜びや幸福感、心地よさを感じるときに生じる感覚で、主観的であり、個々の好みや価値観によって異なるため、ある人にとって楽しいと感じることが、他の人にとっても同様であるとは限りません。
それでも、より多くの人に楽しさを感じてもらうことを追い求めて参ります。楽しさは、日々の生活に彩りを与え、心を軽やかにし、前向きなエネルギーを生み出します。誰かと共に笑い合い、楽しい時間を過ごすことで、新たな挑戦への意欲が湧いてきます。楽しさを共有することで、絆がより深まり、人々の繋がりが強くなります。楽しさは縁を生み、縁が楽しさを広げる。この好循環が、ポジティブなエネルギーを生み出し続け、一人ひとりが未来に向かって前向きに行動を起こしていくようになる。このような社会を「明るい豊かな社会」と呼ぶのだと思います。

豊かさの土台

生涯にわたり、健やかで心豊かに過ごしたいという思いは、私たちの共通の願いです。人は、病気になってはじめて健康のありがたさがわかるものです。特に我々、青年世代は、身体的発達が安定し、筋力など身体機能がピークを迎えるため、睡眠や食生活などの生活習慣が乱れたとしても、あまり体に影響が表れないため、体を気遣わず無理をしがちです。また、今後も高齢社会が進行し生活習慣病の増加が見込まれるため、静岡県や浜松市の計画においても、生活習慣の改善やこころの健康、自然に健康になれる環境づくりが求められております。我々青年世代の健康を増進することは、自身の将来の疾病予防や望ましい生活習慣の獲得のみならず、仕事や生活の質を向上させ、そして、より良い生活習慣が次世代の子どもたちに受け継がれ、浜松市民の未来の健康寿命の延伸へと繋がります。豊かさの土台となる健康増進への運動を進めて参ります。
産業構造の変化、機械化・自動化の進展、移動手段の発達等により市民の身体活動量が減少しやすい社会環境に変化し続けています。スポーツなど、適切な身体活動・運動は、生活習慣病の予防だけでなく、生活機能の維持・向上の観点からも重要であり、うつや不安症状が軽減され、思考力、学習力、総合的な幸福感を高めます。また、スポーツは人と人や地域と地域の交流を促進し地域の一体感や活力を醸成するものであり、健康増進や体力の向上にとどまらず、地域社会の再生や地域経済の活力創造に寄与するものとしての期待が高まっています。市民の皆様がライフスタイルの一部にスポーツや運動を取り入れ、それぞれ気軽にスポーツに親しみ、楽しみ、心身共に健やかで、豊かな生活を営むことができるような社会を目指し、機会を創出して参ります。

未来に繋ぐ第三の教育の場

「明るい豊かな社会」を考えていくうえで、未来を担う人財を育てることは、今を生きる我々の責務であると考えます。JCは、行政でも教育機関でもありません。よって、青少年事業における考え方は、学校教育や家庭教育を補う第三の教育として、学校や家庭では提供することが難しい、しかし生きていくうえで大切なことを身につける機会を提供することです。ただし、国や静岡県、浜松市が目指している子どもの姿を理解し、その目標に沿った教育をすることが重要です。子どもたちが社会に出て、たくましく未来を切り拓いていくには、夢や希望を持ち続け、自分らしさを大切にすることが重要です。夢と希望を持つことにより、たとえ困難や苦労に直面しても、逃げずに立ち向かったり、他者と協力したりしながら主体的に取り組むようになります。成功や失敗体験を通して様々な資質・能力を身に着け、心は耕され、正しい判断力や価値観、自分らしさが磨かれていきます。自分の夢に向かって行動する大切さや未来へ希望を持つ教育の機会を創出します。
スポーツや体育は、子どもたちの健康な身体を作り、健全な心を育みます。特に勝負を分かつ真剣勝負には、ルールや規則を守ることの大切さや礼節、互いを思いやる豊かな心を育みます。また、スポーツ競技に打ち込む直向きな姿勢は、応援する人々に想いが伝播し、感動をあたえ、一体感を実現し、地域の人々の交流促進や地域の活力創造に寄与することでしょう。

文化と家族がもたらす豊かさ

人間の本質に根ざす文化は、人々の生活に潤いと喜びを与えると共にその質を向上させ、豊かな心を育み、地域への愛着と誇りを生み出します。さらに文化は地域コミュニティの形成や、産業の発展、社会基盤の形成にも大きな役割を持ち、都市の自律的な発展に不可欠なものです。浜松地域は、明治時代に日本初の国産ピアノを製造したことをきっかけに、多くの楽器メーカーが本社を置く世界的な楽器産業の集積地となり、楽器や音楽に関わる技術や人財が、浜松独自の地域資源となり、「楽器のまち」、「音楽のまち」としてその名を知られるようになりました。
音楽は、言葉では表現しきれない様々な感情を表現し、他者と共有することができます。人々を繋ぐ力があり、コンサートやバンド活動、合唱など、共感や理解を深め、人々の間に強い連帯感を生み出します。この音楽の力を活かして、世代を越えて心を通わせ、人々の交流が活発になり、まち全体が生き生きとしたコミュニティへと成長することを推進して参ります。また、音楽は青少年育成にとっても重要な役割を果たします。楽器の習得や人前での演奏は、練習を重ねて成果を上げる成功体験、達成感に繋がり、それは自信や前向きに取り組む姿勢を育てます。感情を豊かにし、健全な人格を育むことができます。子どもたちが、音楽文化を通じて、地域に誇りと愛着を持ち、他者への共感力など健全な社会性を育むことが、未来の浜松の発展に繋がるでしょう。
私たちにとって多くの場合、最も身近なコミュニティは家族です。家族は、大切な存在ですが、その親しみや近さゆえに、時としてその重要性を見落としてしまうことがあります。仕事や他の社会的な義務に追われる中で、家族を優先することを後回しにし、ないがしろにしてしまうことがあるのです。家族の絆は、心の豊かさの基盤となります。家族と共に楽しい時間を共有し、感謝の気持ちを伝えることが長期的な幸福に繋がります。

人の交流から生まれる価値

人間は他者との繋がりにより社会を構成しています。人と人との繋がりは、視野を広げ、新たな価値観や経験を得るきっかけとなり、人生を豊かにしてくれます。特に異なる文化や背景を持つ海外の人々との繋がりは、新しい価値観の獲得や国際的な視点の広がり、語学力など現代社会において重要な学びを得る機会となります。浜松市では、第2次浜松市国際戦略プランが策定され、その中には「民間交流を重視した都市外交の推進」が明記されており、浜松JCは2023年度にインドネシア共和国のJCI Bandung(バンドン)と姉妹LOMの締結をしました。浜松市に所在する団体や企業とインドネシア周辺企業の繋がりを持つことにより、お互いの課題を解決し、地域全体の活力を高めて参ります。
また、運動を推進していくうえで様々な人や組織と協力することは重要です。多くの人と協力することは、異なる知識や視点を取り入れることでお互いに補完しあい全体のパフォーマンスや成果が向上します。他団体との交流を深め、力を合わせることができたなら、我々の目指す明るい豊かな社会の構築へ、より近づくことができるでしょう。

豊かさの根源を見つけ育てる

浜松JCは、創設以来74年間明るい豊かな社会の実現に向けて運動を続けて参りましたが、その根源は「人」であります。若さが持つ、未来を切り拓いていく想いや失敗を恐れず一歩踏み出す勇気を保つため、JCには20歳から40歳までと年齢制限が定められております。そのため私たちは常に新しい人財を発掘していかなければなりません。JC運動は、地域や市民、会員に対しポジティブな変化をもたらす運動を展開しています。そういった意味では我々と志を同じくする青年を仲間に増やしていき、それぞれの同志が自分の家族や会社の社員に対して直接想いを伝えていくことができれば、これほど費用対効果の高い事業はないでしょう。また運動の発信力を高めるうえでも、新たな若い力を増やして参ります。
我々はJCを40歳で卒業したら、ただの人に戻るのか。そうではありません。私たちは、卒業後も地域を牽引し、より良い変化をもたらすリーダーとならなければなりません。そのためにも、まずは我々メンバーが成長する必要があります。そして、浜松JCが地域に価値のある運動を展開していくためには、会員一人ひとりがJAYCEEとして品格と資質を備えていることが重要です。浜松JCの歴史や会員のあるべき姿、行動理念を知り、目指すべき方向に向かって運動を進めて参ります。また、課題解決のための独自の運営手法を学び、地域に価値ある運動を生み出す人財を育てて参ります。それぞれのメンバーが属する企業や家庭において、JCで得た知識や経験を発揮していくことがこのまちの豊かさへと繋がるでしょう。

ブランディングと道標

多くの人々を巻き込み、浜松JCが起こす運動の効果を最大化していくためには、浜松JCについて多くの方に知っていただき理解と賛同を得ることが重要です。そのためには、浜松JCに所属する人財、活動目的、活動内容を広報し、その魅力を伝えることが必要です。誰になにを伝えたいのかを考え適切な媒体で発信をし、より効果的に共感や参画を促して参ります。
成長には、新しい発想や情報は欠かせません。JCの強みの一つは、広いネットワークです。志を同じくする全国各地や世界中の同志との出会いは、今まで持ち合わせていなかった情報や学び、考え方を得る上で非常に有効な機会となります。LOMが毎年出向の機会を提供できるのは、これまで出向されてきたメンバーの信頼の成果です。出向メンバーは浜松から出向している自覚と責任を胸に職務を全うし、浜松JCのプレゼンスを高めて参ります。さらに出向するメンバーは個々の成長だけでなく、そこで得た経験をLOMで活かすことで、LOMの運動に厚みを持たせ、事業効果が高まり、浜松の発展へと繋がります。その一方で、LOMは出向者に対し全面的に支援することで、しっかりと職務を全うできる環境を提供します。また日本JC役員の出向記録を報告書にまとめることにより、今後の役員輩出の際の道標とします。
浜松JCでは、2021年の70周年記念式典において、2021年から2025年までの中期ビジョンであるJCI HAMAMATSU STRATEGIC PLANを表明いたしました。このSTRATEGIC PLANは、浜松JCの5年間の向かうべき方向性を示すものであり、その目標達成に向かって、このまちにより良い変化をもたらすための運動に邁進して参りました。2025年度はSTRATEGIC PLANの最終年度となります。そのため、これまでの5年間の成果を評価・検証すると共に、2026年からの運動指針となる中期ビジョンを策定して参ります。

質の高い事業を生み出す組織

盤石な組織を築く組織運営に携わる真摯な想いは、いつの時代も不変であり不屈なものであります。一方、地域市民の信頼に応える組織であり続けるためには、時代に即した柔軟性が求められます。JCは運動そのものだけでは成り立ちません。運動の効果を最大化し、社会から信頼される組織となり、組織やメンバーを守り安心してJCに取り組める環境をつくることが必要です。
まずは、明確な基準で財務面を審査し、透明性を担保することで社会からの信用を強固なものにして参ります。2024年に法人格を一般社団法人に移行し2年目となり、地域や市民に対して、より積極的な運動ができるようになったからこそ、コンプライアンス管理を徹底し、運動の質を担保して参ります。
また、JCは、会議体として独自の会議手法を持っております。事業実施に至るまでの議論の質を高めることが事業価値を高めることとなります。議題の本質について建設的に議論をする場となるよう事前準備や規律ある設営をし、効率的な意思決定と質の高い事業を生み出して参ります。

結びに

1年という期間は短いです。機会は平等に与えられますが、つかみ取らなければすぐに通り過ぎてしまうからこそ、常に機会への感度を高め、自己成長への糧とする必要があります。まずは我々が成長し、自身の家族や会社、地域により良い変化をもたらし、次の世代へ繋いで参りましょう。そして、まだ見ぬ未来の若者に2025年度浜松JCの運動の歴史を楽しんでもらえるように。

大人が変われば、子どもが変わり、地域の未来が変わる。

道中、楽しんで参りましょう!