欠陥被害に遭わない為のチェックポイント−5

14.瑕疵保証期間を確認する

 民法では、建物の瑕疵保証期限は木造で5年、鉄筋コンクリート造などで10年となっています。しかし、住宅メーカーの契約書は2年とされるケースが多くなっています。その代わりに契約書に保証書を添付し、主要構造体10年とか基礎10年という具合に建物の部位別に保障期間を設けてはいますが、釈然としません。更に注意しなくてはいけないのは、建売住宅についてです。建売住宅は宅地建物取引業法によって保障期間が定められており、「その保証期間を2年より短くしてはならない」と謳われています。よって、殆んどの業者は保証期間を2年としています。交渉によって「民法に準ずる」と長くしてもらったケースもありますので、交渉してみましょう。

15.契約時に必要な書類が揃っているか

 業者に工事を依頼する場合、工事請負契約の中に設計も含まれ、どんな設計でどんな材料を使い、いくらでいつまでに建てるかが盛り込まれていなければなりません。実物を見ないで契約するのですから、全ての内容が明記された書類が必要です。ところが、これらの書類は素人にはわかりやすくできていないので、業者に全て任せてしまう事になります。これでは、何も取り決めをしないでお金を払うも同然です。契約は書類による取り決めが全てということを頭にたたきこんで、全てを納得してから契約してください。
契約時に必要な書類
@工事請負契約書
 引渡し時期や請負代金、支払方法等の重要事項が記載されていること。
A契約約款
契約書と一対になっていて、契約の詳細が網羅されていること。
B設計図書・仕上表・仕様書
 平面図・立面図から詳細図までの各種図面と、仕上材料の一覧表がそろっていること。図示できない事項は仕様書に書かれていること。
C見積書(工事費明細書)
 材料の種類と単価、各種工事の代金が明記されていること。
D工程表
 工事の工程が細かくしっかりと記載されているもの。

10.見積の大雑把な業者には頼まない

 
見積書は、合計金額ではなくその中身が重要です。本来は単価いくらの材料をどれだけ使うのかを明記していなくてはいけませんが、中には明細のないものや、合計金額のみしか書かれていないひどいものもあります。
 きちんとした見積書には、全ての材料が商品番号まで特定されています。自分の希望したものかどうかを調べておけば、少なくとも材料違いによるトラブルは避けることができます。最近は「本体工事一式」「基礎工事一式」などで済ませる会社が増えています。このような場合には、「仕様・仕上げ表」をもらい、カタログやサンプルを隅々まで目を通して確認するべきです。

16.地縄張り地業には必ず立ち会う
 地縄張り地業は、建築士が図面に書いたものを実際の敷地の上に縄を張って書き込む工事です。「以外に小さいな」「軒が隣の敷地にはみ出している」「寝室が隣から丸見えだ」など、図面上ではわからなかった事が始めてわかるものです。ところが、多くの人は地縄張りには立ち会いません。もし問題が発生しても、着工の前にわかれば何とか解決できますが、建物が建ち始めた後では問題が大きくなり、変更工事に無駄な費用がかかるばかりでなく、欠陥建築が仕上がってしまう危険性があります。当社が調査した現場でも、図面と違った場所に建物が建っていたケースもありましたが、立会いさえしていれば防ぐ事ができたかもしれません。

17.現場にはマメに足を運び、職人と仲良く

 
住宅メーカーに任せきりで、たまにしか現場に足を運ばない方がいらっしゃいます。最近では、メーカーも「お茶は出さなくてもいい」と言う場合も多くなっています。しかし、家の出来映えは職人に左右されます。職人とうまく人間関係ができれば、職人も「この人の為にいいものを」という気になります。毎日10時と3時にお茶とお菓子を現場に届け、世間話をしてもいいし、家の事を教えてもらってもいいでしょう。とっつきにくい雰囲気の人もいますが、皆さん意外と話が好きですので、とにかく仲良くなってください。

18.現場の写真をマメに撮影する

 4−15でも書きましたが、裁判になって一番困るのは証拠のない事です。写真は立派な証拠資料になります。もちろん第三者の建築士が現場を見れば様々な箇所の写真は撮影しますが、問題が起こりそうな場所が中心で、隅々まで撮影できるわけではありません。写真を撮影していない場所で問題が起こる可能性も十分考えられます。手当たり次第で構いませんので、様々な箇所で撮影してください。


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