欠陥被害に遭わない為のチェックポイント−4

12.工事請負契約書に注意

 注文住宅を建てる時は、業者と工事請負契約を締結します。実物を見ないで一生に一度の大きな買物をするのですが、甘い契約をしてしまう人が少なくありません。
注文住宅の契約書と契約約款は、建築四会連合や住宅金融公庫が作成した書式が代表的ですが、中規模以上の会社では、独自に作成したものを使う場合も少なくありません。
 契約書には工期や引渡し時期、請負代金とその支払方法等を記載することになっていて、発注者・請負者双方が署名捺印します。着工日を書かずに「着工日から4ヵ月後に完成」などという場合もありがちですが、これではいつ完成するのかわからないので、着工日・完成日・引渡し日が明記されていることが大切です。
 契約約款は、工事が設計図通りでなかった場合や変更を申し出た場合にどうするのか、材料が破損した場合や完成後に欠陥や瑕疵が生じた場合にどうするのか、工期が契約より遅れた場合に賠償してくれるのかどうか、という契約を遂行していく上で起こりがちな事について、その対処の方法が具体的に記載されます。必ず契約の前に目を通してください。そして不合理な箇所は手直しを要求し、それを拒む業者なら別の業者との契約を考えましょう。もちろん、契約書に第三者の検査を特記する事を忘れないでください。
 契約約款のチェックポイント
@設計図や仕様書通りでない場合の改造義務
 発注者が請負会社にやり直し請求ができ、請負会社がそれに従うことになっているか。
A工事の変更・中止
 発注者が必要な時に工事内容を変更したり、一時中止や打ち切りができるようになっているか。
B損害の負担
 完成までに建築中の建物や材料に損害が生じた場合、請負会社が負担することになっているか。
C瑕疵担保
 完成後に施工の欠陥による瑕疵がある場合、発注者が請負会社に補修を求めることができるか。
D履行遅滞違約金
 工事が契約期間より延びた場合、請負会社に違約金を請求できるか、またはその金額が書いてあるか。(住宅金融公庫作成の約款では、遅滞日数一日につき請負代金の1000分の1以内となっている。)

13.売買契約書に注意

 注文住宅の工事費は、敷地条件や建物の仕様によって様々なので、条件や要望を業者に伝えて、プランと一緒に提示してもらわなくてはなりません。したがって、同じ条件で複数の会社からプランと見積を出してもらって比較検討することが、契約する上で重要です。
 見積の段階で慎重に取り組まないと、失敗する可能性が大です。材料や設備を細かく確認し、納得するまで設計をやり直してもらい、その上で依頼先を決めるようにします。明細がなく合計金額だけだったり、設計変更を渋る業者は要注意です。

10.見積の大雑把な業者には頼まない

 
建売住宅や中古住宅、マンション等の既に建っている住宅を買う場合には、不動産売買契約を締結します。工事請負契約との違いは、目の前に実際にある物を買う(青田売りという完成前の物を買う場合もあります)というところです。したがって、工事請負契約では完成前に起こる可能性のある問題点に重点をおいて約款が作られているのに対して、不動産売買契約では、確実に物が手に入るかどうかが中心ですが、
@構造までチェックしにくいので、欠陥が発見しにくい。
A中古住宅は権利関係が複雑な場合があり、それらの解消を確実に実行しなくてはならない。
B抵当権が設定されている場合が多く、確実に抹消してもらう必要がある。
等に注意しなくてはなりません。
 売買契約書のチェックポイント
@物件の表示と価格
 物件の所在、地目、地積等が明記されていること。
A手付金
 手付金の扱いに関する条項が明記されていること。
B代金の支払い、所有権移転及び引渡し時期
 明記されていること。
C瑕疵担保
 契約時に発見できなかった欠陥がある場合、損害賠償や契約解除の取り決めがあるかどうか。


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