理容師と美容師の起源は?


 日本で髪結いを職業とするものが、初めて現れたのは、江戸時代の初期といわれています。男性客を扱う髪結いは店に客を迎え、女性客を扱う髪結いは得意先へ出かけて仕事していたそうです。当時は、身分の高い人以外は男女共自分で髪を結っていたみたいですね。
それが、明治維新となり、散髪脱刀令(マゲと刀を捨て、西洋文化を取り入れようとした法令)が公布され、ここから散髪が始まりました。
明治10年代には「理髪店」と統一され、今で言う「理容師」及び「美容師」を総称して「理容師」と呼ばれていました。
昭和22年、労働基準法が出来たときに、業界の伝統であった徒弟制度が禁止されました。昭和23年には理容師法が発布され、昭和26年には理容師試験制度も整備されました。
昭和32年にそこから美容師法が分離し、初めて「美容師」が誕生したのです。
平成10年4月1日より、この理容師・美容師さんの資格制度が大きく変わったのだそうです。


新制度後の資格制度


これまで、理容師・美容師試験は各都道府県知事が行い、合格者は、やはり各都道府県知事から免許を受けていました。その制度が一新し、この資格試験も合格者への免許証の交付も厚生大臣が行うことになり国家資格と改められました。理容師・美容師の名簿は、厚生省の管轄になったわけです。
これにともない、受験資格やその制度も大きく変わりました。
従来、理容師や美容師をめざす者は、各種の理容師・美容師養成施設において、昼間課程で1年、夜間課程なら1年4ヶ月、通信課程なら2年間の学科及び実習を学んだ後、理容師・美容師試験の学科試験をまず受けることになっていました。受験のための学歴資格は中学校卒業以上です。
そしてこの学科試験に合格したら、今度は実際の理容室・美容室の現場で1年以上の研修期間(実地習練)を経験した上で、さらに実技試験を受け、これに合格して初めて免許が取れたのです。
今回の改正で、まず、学歴は基本的に高校卒業以上が要求されることとなりました。しかも養成施設で勉強する期間も、昼間・夜間課程で2年、通信課程では3年と、それぞれ延長されています。教科課目や内容も見直されたようです。
この改正により、よりレベルの高い技術を身につけると同時に、ゆとりをもったカリキュラムになり、エステティックやコンピュータといった時代にあった知識を学んだり、より専門的な知識を取得することが可能となるようです。
この養成施設さえ卒業すれば、すぐに理容師・美容師試験(筆記と実技)を受けることができます。現場での1年の研修期間は廃止されました。
実際に新制度による試験が行われるのは、新しいカリキュラムとなった養成施設から最初の卒業生が出る、平成12年4月1日より実施されるとのことです。
今回の改正は技術が高度化したことに対応するためとはいうものの、やはり現実には、中学卒業や高校中退後、理容師・美容師をめざす人たちを閉め出すことになってしまうようです。 そこでこういった人々にも門戸を開き、「当分の間」、中学卒業者でも理容師・美容師試験を受験できることなっているとのことです。そういう人たちは、各養成施設において、厚生大臣の定める特別な講習課程をプラスして学ぶこととなります。

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